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提供: HighProgrammer's

本ページは、インターネット上で散見するPARANOIAに関する情報提供のため用意したものです。 Twitterなどの「流れる」媒体よりは高い効果が見込まれると思って、都度追記する形で記します。

本執筆の背景として、インターネット上の様々な誤解を解いてきた背景があります。 執筆にあたり新規に起こすものもございますが、ここの情報の多くは否定系から入っていることを、予めご了承ください。

なお現在の日本語でのプレイ環境は、2004年版ではなくトラブルシューターズですので。原則トラブルシューターズを軸とします。

目次

PARANOIAおよびPARANOIA-O自体に関する誤解について

パラノイアRPGの系譜

PARANOIOA-O日本語版はおためし版?

  • 誤:お試し版である。
  • 正:昔の版のハウスルール集である。

解説

おそらく「PARANOIA-O日本語版」の記述の少なさに比べて、「トラブルシューターズ」の記述が多いことから誤解を招いているものです。「PARANOIA-O」は2版のハウスルールですから記述が少ないのは当然です。

もう少し解説すると。W.E.G.社が出版していたものは、25周年記念版では"Original PARANOIA"と呼ばれており。Mongoose社が出版しているものは"New PARANOIA"と呼ばれます[1](2004年版は"New PARANOIA"と呼ばれていませんが。25周年記念版のTroubueshootersが2004年版の簡易版であることを考えると"New PARANOIA"と呼んで差し支えないと考えます)。

つまり。2版(1984年)のハウスルールから20年以上が経過し、当時のOriginalではなくNew(新しい)パラノイアなのですから多くの概念やルール、総じてデザインとも呼ばれるものが異なります。なので「お試し版」というスタンディングを得ることは出来ません。

ネットにルールがある/無料である?

  • 誤:ネットにルールがある。
  • 正:ルール転載か。削除された情報です。
  • 誤:無料である。
  • 正:もともと無料ではありません。

解説

一般的にこの誤解をしているのは、「O日本語版」を指していることが多いです。それか単なる断片的な情報サイトを見てそれで十分と考えているか。不正なアップロード物を指しているか。あるいはPARANOIAを元にしたオリジナル物です。

あわせて「PARANOIA-O日本語版は、ルールブック(単体で遊べるもの)である/無料で遊べる?」を参照してください。

より厳密には、アンオフィシャルですがPARANOIA-O日本語版以外のPARANOIAは存在します。ですが知名度が極端に低いのと……。ええと。その。まあ。作者の活動を見ると、ちょっと時系列が合わないというか。こう。怖い事案が出てきたのでPARANOIA D20については、私はあまり語りたくありません。

PARANOIA-O日本語版は、ルールブック(単体で遊べるもの)である/無料で遊べる?

  • 誤:ルールブックである。
  • 正:ハウスルールである。
  • 誤:無料で遊べる。
  • 正:無料で遊べなくなった。

解説

「O日本語版」が主流だった時代。多くの動画やサイトが「それが1つのルールやシステム」として紹介してきました。確かに"PARANOIA-O日本語版"は単体で遊べるほどの2版からのルール転載があったため[2]、無料で遊べるという否定できない事実があります。

その不正の是非は、とりあえず原作者要請により削除。ということで決着がついているので蒸し返す必要はありません。しかし歴史的経緯を知ることは、とても重要だと思います。これについての解説は、ニコニコ動画にて3話分割で投稿しています[3]ので、お暇なときにご覧ください。

「O日本語版」が多く遊ばれていたころ。「O日本語版」が公式あるいは公式許諾を得たもの。という誤解があったものです。「PARANOIA-O」は許諾……とまではいきませんが、「2004年版」のルールブックで紹介されていることもあり公認の存在でした。O日本語版はその翻訳物であるから公認同様と見て問題ないだろうと多くの人に思われていたのもあると思います。

「PARANOIA-O日本語版」は、GMセクション閉鎖後の現在はトップページに Paranoia-OはPARANOIAのオンライン向けハウスルールであり、公式エディションではありません。と明記されていますし。実は閉鎖前ももともとMike Lemmerとその周辺のゲーマーのハウスルールでありとかこちらはこちらできちんと固まったルールに仕立てあげる所存と【翻訳ノート】に書かれていまして。

誤解と気づく機会は今より少なかったとはいえ。ちゃんとサイトを読んでいれば気づけたであろう。と執筆者である私は思います(実際、世間で当然として扱われていたことに疑問を感じて、記述に気づいた私はMongoose社に問い合わせちゃいまして……関係ないと思うんですが原作者バレは私が原因ではないかと今でも少し不安です[4]

PARANOIA-O日本語版のGM情報削除は、日本語訳版が正式出版されたから?

  • 誤:日本語訳版が正式に出たから
  • 正:原作者に見つかったから(日本語訳版が正式に出た機会だったかもしれないが)

解説

WestEndGames社が出版していた"Original PARANOIA"の権利は、原作者であるエリック・ゴールドバーグやグレッグ・コスティキャンがWEG解散時に回収しています。 Mongoose社が出版している"New PARANOIA"は、原作者のライセンスの元で作られています。 そのため「PARANOIA-O日本語版」は、2版基準ですから本当の本当の本当の厳密には、原作者2名の意向が強く反映されているものです。日本語訳のルールが発売されたとかでGMセクションを閉鎖させていただきました。とPARANOIA-O日本語版は書いておりますが。裏事情がどうあれ表向きは原作者の意向が主な原因です。

NewGamesOrder社としては「PARANOIA-O日本語版」を問題が起こる前から正しく「ハウスルールから派生したものであり、ハウスルールとして存在したほうがいいもの」と認識していた可能性があります[5]いやたぶん間違いなく認識していたはず。彼のことですもの。ですので日本語訳版の出版社としてはスルーしたかったのだと思いますが。原作者に見つかって原作者が異議申し立ててきたらどうしようもないわけです。

しかしながらNewGamesOrder社が完全に"Original Paranoia"に関与できないか。というとそうでもなく。 パラノイア日本語版の売上に悪影響を及ぼす違法なものについて、原語版権利者の代理として適切に対処することが求められているので、その意味で制止可能であると回答を個別に得ています[6]

PARANOIAのルールに関する情報

パラノイアのプレイスタイルって、いつから採用されたの?

解説

PARANOIA-O日本語版が多く遊ばれていた時代から「ザップ(Zap)」「クラシック(Classic)」「ストレート(Straight)」という言葉が使われていました。 しかしそれらは、2004年版から採用されたルールです。 PARANOIA-O日本語版では、GMセクションにも記述されていませんでした。

PARANOIA-O日本語版の卓募集で「ザップ」「クラシック」「ストレート」のスタイルを提示しているものを見かけるのですが。どこからその情報を得て混ぜたのか不思議でなりません。 おそらくリプレイ動画か解説動画か何かしらのコミュニティサイトでしょうが。PARANOIA-O日本語版に定義が書かれていないのに、そういうものだと納得してしまう人が多かったという事案については、悪い意味ではなく、本当に、完璧に、純粋に、曇1つもなく、情報の伝達性についての興味深い事案なのです(四角を描くように、自分の胸の上を反時計回りに軽くタッチする)。

PARANOIA-Oの元となった2版では「トリガーマッドネス(Trigger Maddness)」「ロールプレイング(Role playing)」「プロブレムソルビング&ミッションサクセス(Problem-Solving and Mission success)」の3つのステージ(≠スタイル)が定義されていて、その内容も異なるものです(方向性は真似たものでしょうけどね)。

例えば「ストレート」は、陰湿で重苦しいものとなっています[7][8]。しかし「プロブレムリゾルヴド&ミッションサクセス」は、GMと同等の知識を持ち合わせ、本当に問題を解決しようと次第源努力するものとなっています[9]。 また2版のステージというものは、トラブルシューターズで採用されたスタイルのようなゲーム全体を支配するものではなくプレイヤー1人1人の遊ぶときの心構え(ステージ)について触れているものなので。他人のステージに引きずられて自分のステージも下がっていくことが示唆されています[9]

【重要】クリティカルとファンブルは、1と20?

回答

「出目が1なら常に成功」とか。「出目が20なら常に失敗」とか。 そんなルールは、もはや存在しません!

解説

パラノイア2版では、確かに1なら常に成功しますし。20なら常に失敗していました。

しかしPARANOIA-Oは、難易度テーブルを用いた上方判定[10]に変更されていますので、そもそも概念が異なります。(君のスキルスコアが9程度なら、簡単なことだって1が出ても失敗するんだ!)

トラブルシューターズでは、行為の成功/失敗を、成功度/失敗度(margin success)という尺度でちゃんと測るようになりました。そのため目標値が20以上のとき。出目が20の場合は「成功」となります[11]

ええ。はい。シャドウランにおけるグリッチルールのようなもんだと思ってください。

パラノイアって、ルールのことプレイヤーが言及したらダメなんだよね?

回答

良い質問です。もちろん表向きダメです(ルール通りなら直ちに処刑はされませんが)。ですが歴史的経緯を知ると面白いことがわかります。

解説

プレイヤーによるルール開示不可は、反逆点/反逆ダメージのルールとして明確に定められています。 ただしその変移は以下のようになっています。

Paranoia 1版

個別定義なし。未承認情報の取得のみ。(反逆点方式)

Paranoia 2版

個別定義なし。情報クリアランス違反のみ。(反逆点方式)

以下のやりとりは、Paranoia 2nd edition, page 54より。ゲームマスターの言葉や処罰の内容を待たずに他のプレイヤーがリンチかましていることに注目。

Player: But I'm point-blank range. so I get a +4 modifier -- so that means I hit.
(訳:でも至近距離だよ。+4修正が入って命中したはずなんだけど)

Gamemaster: +4 modifier, huh? Citizen, where did you obtain this information?
(訳:+4修正だと? 市民、その情報はどこから仕入れたのかね)

Player: Huh? It's in the rules.
(訳:へ? ルールに書いてあるよ)

Gamemaster: Citizen. The rules are security clearance Ultraviolet. You are security clearance Red. For a citizen of security clearance Red to know data that is cleared only for Ultraviolets is trea...
(訳:市民。そのルールは紫外情報だ。君のクリアランスは赤だろう。赤市民が紫外市民にのみ許されている情報を知ることは、反gy…)

Other Players: ZAP ZAP ZAP KAPOW.
(訳:銃撃や乱闘の音)

Paranoia 5版

個別定義なし。情報クリアランス違反のみ。(反逆点方式)

Paranoia XP版(2004年版)

【クラシック/ストレート】(反逆ダメージ方式)

  • Demonstrating knowledge of the PARANOIA rules above the player’s Clearance.(プレイヤーのクリアランスを超える、パラノイアのルール知識の開示)

※ Demonstrating - 実際にやる(=実演)。実例を出して明白にする。示威運動

Paranoia 25周年記念版トラブルシューターズ

【クラシック】(反逆点方式)

  • Arguing with the GM. (ゲームマスターと議論する)
  • Showing knowledge of the rules. (ルールの知識を示す)

【ストレート】(反逆ダメージ方式)

  • Arguing with the Gamemaster. (ゲームマスターと議論する)
  • Demonstrating knowledge of the PARANOIA rules above the player’s Clearance. (プレイヤーのクリアランスを超える、パラノイアのルール知識の開示)
  • Lying to the Gamemaster (ゲームマスターに嘘をつく)

※ Arguing - 異議申立て、反論。口喧嘩。Objectionのような「ちょっと待った」ではなく。かなり攻撃的な場合がArgument。

このように明示されたのは、XP版以降の話です。またXP版では「Demonstrating knowledge」と定められていますので単に知識を口頭で述べる程度であれば問題ないです(プレイヤーA君は、ルールがそうなっていると主張しているが。君らがそれを信じるかは私の知る所ではない)。一方で勝手にルールがそうだからと処理を進めたりするようであれば明白な反逆です。

XP版から簡略化された25周年記念版トラブルシューターズでは、再び反逆点が復活しました。ところがどうしたことかShowing knowledge of the rulesと異なる定義が下されました。といってもShowing自体も少し曖昧な部分があって「曝け出す」「明白にする」という意味も含まれることを考えると。よほどのことがない限り厳しく処罰するのもどうかなと筆者は思います(ルールブックのページを指差してドヤ顔きめたら処罰していいと思います)。

さて。ところで。 ストレートスタイルにおいてはゲームマスターに嘘をつくのは、固定ダメージで「処刑」です。

ゲームマスターは、プレイヤーに必ずこう尋ねることもあったでしょう「ところで。ルールブックのGMセクション。読んだりした?」 あなたが実は読んでいたことがバレた場合。ShowingだろうがDemonstratingだろうが関係なく処刑されても文句は言えない可能性はあります。

つまり貴方は最初からゲームマスターの気まぐれで処刑される理由を持っています。 処刑されるリスクがそれほど高くて反逆を犯さない理由はないでしょう。 せいぜいゲームマスターに「こいつは生かしていたほうが楽しい」と思わせることです。 

パラノイアは、よく爆発するのか?

回答

正しいとも言えますし。正しくないとも言えます。

でも考えてみてください。本当にアルファコンプレックスのあらゆるものが高爆発性で。それも高威力で爆発するのであれば。アルファコンプレックス全土は誘爆に次ぐ誘爆で全セクターが瓦礫と化すでしょう。

解説

パラノイアの世界(アルファコンプレックス)のイメージとして、歯磨き粉すら口に入れると爆発する。というのがあります。

たしかに。たしかに。アルファコンプレックスには、高爆発性のものが数多くあります。 ルルブ記載の一例をあげると靴墨すら高爆発性です[12][13]。 しかし靴墨の件は、ミッションを終了させるいわば「爆発オチ」としてゲームマスターが強制終了させるための装置の1つとして提供されているに過ぎませんから。それがいつも爆発するわけではありません。

爆発するからには"何か"が起きているはずです。 おそらく最も多いのは戦闘中にハイテク品のいくつかが暴発(バックファイア)することです[14]。 他にもボットを不幸にも撃ち抜いてしまったときの例(ルルブには、()で"たとえば"とあります)として書かれているぐらいです。[15]

つまり。爆発物まみれではありますが。爆発するきっかけを起こさない限り爆発しません。

ええと。はっきり言いましょう。プレイヤーが間違いなく爆発するようなことしたときか。ゲームマスターが面白がって爆発させたか。爆弾が話に飽きてしまった[16]か。のいずれかです。 アルファコンプレックスのせいにするのはやめましょう。 アルファコンプレックスは高爆発性物質を、さしたる必要もなく大量に設置しているだけです。 アルファコンプレックスは悪くない!

悪いのは、それが高爆発性のものであると即時決定して、爆発させることを決定したハイプログラマーのクz【I/O error】

パラノイアの判定って、基本的にゲームマスターが隠して振るの?

回答

2版では「いいえ」、O日本語版では「はい」、トラブルシューターズでは「いいえ」

解説

未執筆

トラブルシューターズのデータ多すぎない?

未執筆

ソロノイアって、トラブルシューターズ4ページに違反しているよね?

※ ソロノイアとは、ゲームマスターとプレイヤーがマンツーマンで遊ぶスタイルです。

回答

端的に言うと。はい。違反しています。

解説の前に、この質問をした方は知人で。私が標榜しているルールブック至上主義者として、違反しているのはどういうことなのか。という話です。

解説

お互いに信じ合えないところが本来のパラノイアの遊び方だと思います(そこは昔から踏襲されていたはずです)。なのでソロノイアは同人的(ファンワーク)だからこそ出来るものだと考えています。……といっても。某コズミックホラーなもの出してる会社のアレコレを見ると。どうでもいいじゃねえのって思ったりもしますが。

それらは「TRPGの展開は十人十色なのだから。リプレイをなぞる必要はない」という証明のために挑戦したものだったり。チュートリアルとして、他人に邪魔されず、じっくり腰を据えて、その世界と反逆行為を楽しんでもらう狙いがある。とまあ私なりの違反する理由というのが存在しています。

(シナリオ作者とゲームマウターは異なる存在ですが話を簡単にするため同一のものとして) 私はGM用ルール第二条にある「最高の楽しみ」を得るためならば。GM用ルール第三条の相手を「社会そのもの」にすげかえて、さらにGM用ルール第一条を適用することに何ら抵抗感はありません[17]

【重要】パラノイアって、ルールがあって無いようなものなんでしょう?

類似

  • 面白いと思ったらUVがルール書きかえていいんでしょう?

回答

答えは明確にNoです。なぜルールを破るかを考えてみてください。

解説

パラノイアの2版では、「私達の考えは次の通りです:ルールは破られるために作られている」とまで書かれていますが。ルールが存在しないわけでもありませんし。ルールを無視しろということでもありません。 続く文章には「ゲームマスターの仕事は、緊張(テンション)を維持し、プレイヤーが満足のいくストーリーとなるよう伝達することです」とあります[18]

トラブルシューターズでもGM用ルール第一条の太線部[17]では「どうもこのルールが気に食わない」ともありますし。何よりも最後の例として、プレイヤーの行動が「気に入った場合」「気に入らなかった場合」「どちらでもない場合」が提示されています。 そもそも何故ルールを破るのか。それは色々な理由がありますが。 最終的かつ究極的には、GM用ルール第二条の太線部[17]のとおり「ゲームマスターとして得ることのできる最高の楽しみは、皆が楽しい時間を過ごすこと」に到達します。最高の楽しみを台無しにしてもいいと考えるGMであれば別ですが。

もしそれが本当に重要な処理で。プレイヤーも適切な処理を期待しているのであれば。多少の時間をかけてでも正しいルールを適用すべきでしょう。ルールを正しく適用して不満を言うプレイヤーは、そんなに多くはいません。なによりもルールを正しく適用することで責任をルールに押し付けられます。

結局のところ。パラノイアRPGにおいては、ルールというのは正しいから優れているというわけではなく。正しかろうが間違っていようがゲームマスターの仕事として、そのテンションを意地するために、ルールを破ることを躊躇してはいけないということです。しかしルールをテキパキと処理できて、それがテンションの維持に役立つのであれば。ルールを正しく運用しない理由は、ほぼほぼ存在しません。

以上のことから。私としては、ルールを破ることを咎める必要は一切存在しないと考えます。ですが最初からルール無用とか、少しでもルール運用できるように頑張ろうとしないとか。そういう向上心を捨てるような意見は、単なるサボタージュでしかないと考えます。 でも安心して欲しいのは「今の私では手に負えない、処理しきれないルール」というのは、テンションの維持に大きな問題が生じるので破って構わないのです。 それはルール的に守られたGMの権利です。ですからルールは出来る限り守りましょう。この保護が失われないように。

パラノイアの進め方

【重要】パラノイアは、本当にPvPなの? パラノイアの目的(ゴール)は?

回答

結論から言うと。PvP要素はある。それは事実。だけど「相手を倒すために必要な部分(ルールとデザイン)」こそがゲームの本質だよ。ということになります。

何をもってPvPとするか。にもよるのですが。考えれば考えるほどにPvP自体の考えから遠ざかります。もしPvPのゲームとしての要素が強いのであれば。おそらくパラノイアはロールプレイング部門の大賞なんて受賞できなかったでしょう。

協力体制の有無についてはセンシティブな部分ですが。パラノイアの対立とは、基本的に「相互不信」です[19]。また「他者を信頼しきった振る舞い」という一文[20]のとおり。心のどこかで不信を抱いていれば、協力的に振る舞いつづけ終わっても何ら問題はありません。

ですので対立が表面化する必要はなく。PvPが起きる(or起きない)。クローンの死亡が起きる(or起きない)といった結果は、パラノイア的であるかどうかに関係ありません。

すくなくとも『パラノイアとして』はね。 ところが相互不信が煽られなかった場合は、『セッションとして』は問題か課題があったと考えることができます。 このとき。シナリオやGMは起きるよう誘導しなくてはならないのは、パラノイアのシステムとしては当然のことですが。結局のところ相互不信するかどうかは、主役であるPL次第だということを忘れないでください。どんなに不信の種を撒こうとも強い結束力をもったプレイヤー集団には敵いませんし。例えば集団に1人だけ相互不信を望む人が居たところで無力です[21]

PCであれ。NPCであれ。社会であれ。 このまま流されてはいけないと思えたかどうか。流されないためには、自分から動いたかどうか。 それこそが重要で。パラノイアが目指す物語(ナラティブ)性[22]につながります。

そうやって不信から動くこと自体が不信の結果であり。自分を信じてくれていないと気付いた相手がポジティブな行動であれネガティブな行動であれ不信に繋がれば。それはうまく回ったセッションであるといって構わないでしょう。

解説1

パラノイアの中で対立しあうことは、推奨されているものの。それが目的ではありません[22]。 トラブルシューターズには、次の内容が書かれています。

PC や NPC の全体としての行動が、時間とともに満足のいく物語(ナラティブ)を織りなす、そういうふうにしたいところでしょう。そうなると、目的や障害、面白いイベントやクライマックスといったものを用意することになります。ナラティブはルールよりも大事です。ドラマ的に適切な方に進むよう、サイの目は積極的にごまかすなり無視するなりしてルールも自由に解釈し、みんながストーリーを楽しめるようにしましょう。

「目的や障害、面白いイベントやクライマックス」に相当するものがPvPとなる可能性は、否定できません。 しかし。パラノイアはPvPを前提とした物語(ナラティブ)を生み出すことを目的(ゴール)としたシステムではありません。 物語(ナラティブ)であればPvPでなかろうと何ら問題はないのです。

クラシックであれ。ストレートであれ。パラノイアもクトゥルフと同じように楽しい話を生み出すことです。 PvPがなきゃパラノイア的ではない。死ななきゃパラノイア的ではない。という考えは、手段と目的を履き違えています。 その上で。どうやってプレイヤーを疑心暗鬼に陥らせ。いがみ合わせるか。 といったところがシナリオ作者とゲームマスターの腕の見せ所だと少なくとも私は考えています。

解説2

確かにトラブルシューターの最大の敵は仲間であるべき[19]というのも事実なのです。 ですが続く文章には、容赦無く相互不信を煽り。誠実で信頼のおける同盟を作らせるな。といった趣旨の言葉があります。

もし本当に最初からプレイヤーがPvPやるつもりであれば。このような文章は不要です。 「誠実で信頼のおける同盟? PvPのゲームに何いってんの? 同盟勝利とかでも作るの?」

いいですね。それでこそパラノイアです。「ザップ(ZAP)」と呼ばれるスタイルの遊び方です。これは「3つのプレイスタイルの特徴」という表の「活動」で端的にかかれています[8]。しかしザップが一般的かというと。実はそれほど一般的ではありません。前ページの「ザップ・スタイルのゲームを回す」を見るとパラノイアについてぼんやりとしか知らないプレイヤーは、みんなこのスタイルで遊んでいるものと思いがちですの一文があるとおり。あまり知らない人が「そんな遊びでしょう」と言ったり、あるいは知っている人が友人らとふざけて言い合う程度のものです。多くはクラシックやストレートといったスタイルで遊ぶものです。パラノイアの基本はクラシックです。改めて先程の表の「活動」や「典型的な物言い」を確認してください。おそらくPvPというよりも茶番劇を楽しむ雰囲気が強く感じられると思います。歴史的な経緯から言うと。このクラシックスタイルというのは、パラノイア2版でいうところの「ロールプレイング(roleplaying)」ステージが変化したものでして。トンチンカンな試行錯誤でギャグを全力で楽しもう[23]。という遊び方が根底にあるのです。

もちろん。事実として。相手のことを信頼し協力し殺さないことなんて考えられないことです。しかしPvPのように目的のために殺すのかというと私はノーと答えます。それが端的に示されているのが「プレイヤーへの最重要ルール」です[24]。要約すると「皆を楽しませ(GMの最大の楽しみとも定義されている)」「裏切って」「ほくそえんで」「殺せ」です。それらを成功させるためには「プレイヤーへの最重要ルール」に書いてあるとおり。横車を使うようデザインされています。相手の殺害を確実なものとするために、横車を手に入れられるだけの面白いシーンを作り出すこと。それがパラノイアというゲームです。

どこまで過激ならPvPなのか。という話に戻りますが。

Aちゃん「お姉ちゃんが私のプリンたべたー!」

Bちゃん「Cちゃんがどうしても食べたいっていうから。Cちゃんにおねだりするといいよ」

Cちゃん「え。私そんなこと。いやこれだって、普通に2人で食べようって」

Aちゃん「今すぐドコソコのお高いプリン代だせや。それとも肝臓売られたいんか。おお?」

まあ。こういうのがPvPかどうかはともかくとして。仮にPvPだとしても。ゲームとして何を楽しむものなのか。は見誤らないでください。単純に相手を暗殺することを楽しむゲームではありません。皆を楽しませることで褒美を得て殺すのです。

それからまだ先の話ですが。次に出る予定のPARANOIA(rebooted)版では、より直感的なPvPらしさは挿絵からも減っている。とトラブルシューターズの訳者の方も報告していることも検討の余地があります。[25]

どのぐらいの規模のシナリオを作ればいいの?

類似

  • このシナリオって、なんだかボリュームが多すぎないor少なすぎない?

回答

だいたい2時間から3時間ぐらいで終わるものを作ってみてください。

個人的な体感からすると。「3時間±30分」が経験則上のベストです。キャラクターメイキング除いて30分をまず目指しましょう。 またこのセッション時間の目安は、他人が作ったシナリオを回す際に自分がその時間で処理できるかどうかの判断基準にもできます。

解説

少なくともパラノイアのデザイナー陣は、そう推奨しています。

2版では、「We recommend two to three hour sessions for most typically impossible missions」[26]と書かれています。後のXP版(2004年版)では、「We recommend two to three hour sessions for most typically impossible classic missions」[27]と書かれています。

余談ですがこの太字部分(原文も太字です)からも「従前の遊び方は、クラシック(スタイル)である」と考えることができます。

【すごく個人的な意見】ところで「impossible missions」ってありますね。ぶっちゃけ、プレイヤーがimpossibleなシナリオ展開に付き合わされるのに飽きてしまうのです。 ですからpossibleなmissionsに関しては、この時間にこだわる必要はありません。 ……とはいえ。パラノイアの多くのシナリオはimpossibleですし。possibleにしてもプレイヤーが反逆的にも進捗を滞らせるので3時間から3時間半というのは、とりあえず最初にそこを基準にして、慣れてきたら自分なりに調整するのがよいでしょう。

シナリオどう作ればいいの?

回答

ルールブックに、シナリオジェネレーターとなるランダム表があるのでお使いください。

解説

実際にランダム決定表は存在します。ですがそれで満足する人は、あまりいないと思います。しかしあれは優秀なフックで。パラノイアのフックとしては、あれで十分です。

トラブルシューターズの場合

トラブルシューターの目的、すべきこと、それらは何でしょうか。本気で考えてみてください。

もし「他のプレイヤーを出し抜くこと」「秘密結社の任務を成功させること」だと思っているならば。その考えは明確に間違いです。トラブルシューターのすべきことは、ミッションとして与えられた課題(トラブル)を、解決(シューティング)することです。それが大原則です。

トラブルシューターズのシナリオは、必ず「課題」を出すところから始まります。 確かに中には「GMの悪ふざけのネタに付き合わせる」だけのシナリオを提供する人もいます。 しかし悪ふざけの背景に何かしらの社会的な背景があったりして、課題っぽさが見えていると見栄えがよくなります。

※ 【重要】2版や5版では、本当にスラップスティックな展開が一般的でしたので悪ふざけのシナリオが悪いとは言いません(見栄えがいいかの問題です)。2004年版以降は、気軽に提供されるミッション。今までのような「R&Dでお決まりの実験」などが見直されて、自由に設定できるなどの影響もあって、より「課題っぽさ」が際立つようになりました。

その「課題」は、解決可能なように見せかける必要があります[28]。 幸いなことに、アルファコンプレックスの疲弊した管理社会や官僚主義のなかにおいては、これは複雑なことではありません。 例えばそうですね……問題を解決することで別の問題が生まれるとか。問題を解決するためには上位市民を告発せねばならないとか。もっと単純に「あるアイテムが必要だが。そのアイテムは貸出中で。貸し出した相手を探し出したら死亡していて、新しいクローンを尋ねようとしたら彼の記憶は洗浄されていたとか。そういう「お手上げ状態」を途中に挟むだけで十分です。大事なのは「途中に挟む」ことです。というのも「解決できそうじゃん」と着手させてから困難な追加課題を出したほうが引き下がれなくなるからです。少なくともミッション開始時点で絶望を振りまいては、そのミッションに足を踏みいれようともしないでしょう。

なかには「台無し」をすることもあります。例えば最後の最後で核爆発が起きるなんてのは、パラノイアの「なんとなくのイメージ」であるのではないでしょうか。 しかし台無しは背景を作ったほうが好ましいものです。何の脈絡もなく爆発するよりは「市民の撃ったレーザーがミスショットしたせいで。コミーの後ろにあったタンクが爆発した」とかの方が、パラノイアに関しては「お前ってやつはっ!」とプレイヤーがチームメンバーを恨むだけのことになる場合が多いものです。ですからGMは知らん顔できます(みんなにはないしょだぜ)。 よしよし。これで「最後にコミーが突撃してくる」というシーンが決まりましたね。アイデア料を$1振り込んでください。 :)

「課題」自体は、世の中にたくさん転がっています。例えば「エスカレーターが毎日混雑している」という経験を君がしたことがあるのならば。「混雑解消」という課題が生まれます。 エスカレーターを増設する。エスカレーター自体を無くしてしまう。といった解決方法が考えられるだろう。これでプレイヤーには「解決できそうだ」と思わせる下地ができました。あとは、それをいかに台無しにするかである。例えばエスカレーターの増設には「現状で社会が回っている。不満の声はない」という官僚主義の壁があるだろうし。エスカレーターを無くしてしまった場合は、オートカーで乗り上げようとする市民が大量発生したとかそういうことにしてもいいでしょう。でもそれは、厳密にはゲームマスターが考えることであって、シナリオライターが考えることではないのです。(もちろんシナリオライターがゲームマスターのためを考えて書くことは大事です。しかしそれは品質的な問題であり、必須事項ではありません)。ぶっちゃけインディージョーンズみたいに、何か持ち帰るべきアイテムを手に入れると罠が発動するみたいなのは、パラノイアにとって、とてもいいシナリオだと思います。

「他のプレイヤーを出し抜く」とか「秘密結社の任務を成功させること」というのは、トラブルシューティングが不調に終わった場合の「誠意を見せて勘弁してもらう」みたいなものであり。それが最初から目的だと感じるような作りは、あまり好ましいものではありません(IOUなどを利用して、そういう誠意が解決に必要となる場合というのはあります)。それらはプレイヤーが勝手にやるものであって、シナリオとしては最初から狙うべきものではありません。

補足と回答
  • (知人の反応より)トラブルシューターズ10頁の4.にもあることだし、トラブルシューターとしての義務より個人的目標を優先させるPCって、自然なことだと思うんだ。
  • もちろん。「トラブルシューターズとしての義務」ですが。そこに「誠実にやれ」とは書いてません。ただそれはやっぱりトラブルシューターとしての目的(目標)ではないし。この話は、あくまでも他のシステムみたいに「シナリオとしては引きが大事」ということです。シナリオの話であってプレイヤーの立ち振る舞いの話ではありません。個人的には、ミッションに片足でも突っ込んでしまえば途中で個人的目標に従うのも自由だと思います。ただシナリオとしては、その人用のシナリオを書くのでなければ、トラブルシューターとしての目標をまずは注視して作るべきでしょう。
  • (ある人のツイート)パラノイアのキャンペーンシナリオとか、クローンいくらあっても足りないです。
  • どのぐらい長くやるのかって話ですが。クラシックスタイルでもキャンペーン対応していますし。ストレートに至っては生き延びやすいから成長が遅くされているほどです。しかもストレートならクローンを追加購入できます。キャンペーンシナリオとしては、GMがストレートスタイルにしやすいようシナリオを組めばいいと思います。

インターナルセキュリティの場合

インターナルセキュリティの場合。スタイルによってシナリオの作りが大きく変わります。しかしルールブックに添付されているコード表に従って事件をつくり。その事件に対して途方もないノルマを与えれば十分でしょう。

事件を作るといっても「きっかけ」と「関係のある(または、ない。あるいは、ない。そもそもない)証拠のようなもの」を提供するだけで十分です。なぜなら青市民のIntSecトルーパーにとって、多くの場合は、事件の真相も解決も関係なく。ホットボディとコールドボディをゲットすれば事足りるからです。

これはシナリオを作る立場としては簡単ですが。遊ぶ側には大変苦痛なものです。なぜなら「どういう展開が待ち受けているか」などというものは一切期待できず。その展開を作り出すのもプレイヤーとなるからです。つまり「言われたことをやる」というトラブルシューターの考え方から大きく変更が必要になります。

ハイプログラマーズの場合

アルファコンプレックスが機能不全に陥るような、大規模なディザスターを用意してください。さらにそれをエスカレーションさせてください。それだけです。

IntSecのシナリオのような「展開を作り出す」どころか「課題を作り出す」ところからハイプログラマーズは求められます。シナリオとしては想定週を用意するぐらいで。基本的には想定は遅々として進むことなく。ハイプログラマーのクソッタレどもが「私の仕事をするためには、まず別の誰かの仕事が完了している必要がある」と先延ばしをしまくって、その失敗の責任を追求してやろうと。新たな課題を勝手に作り出します。ハイプログラマーたちの手腕が優れていればいるほど。シナリオは冒頭の「最初のディサズター」だけで十分になります。もしかしたらそれすらも不要になるかもしれません。

脚注

  1. 本家カバーデザイン
  2. 関係者からの直接的なヒアリングですが「身内用で遊ぶ用に情報を整えていた」とのことです。
  3. PARANOIA tee-em の作者と歴史 page
  4. Mongoose問い合わせに怯えるツイート page
  5. 中の人のツイート(認識していた可能性を示すもの) page
  6. 中の人のツイート("WEG時代"のことに対応できるのかに関する質疑応答) page
  7. トラブルシューターズ日本語訳版196ページ
  8. 8.0 8.1 トラブルシューターズ日本語訳版199ページ
  9. 9.0 9.1 *あとで書く*
  10. PARANOIA-O スキルロールテーブル page
  11. トラブルシューターズ日本語訳版46ページ
  12. トラブルシューターズ日本語訳版163ページ
  13. トラブルシューターズ日本語訳版170ページ
  14. トラブルシューターズ日本語訳版51ページ
  15. トラブルシューターズ日本語訳版61ページ
  16. トラブルシューターズ日本語訳版47ページ
  17. 17.0 17.1 17.2 トラブルシューターズ p.42
  18. パラノイア2版54ページ, How to Use the Rules
  19. 19.0 19.1 トラブルシューターズ日本語訳版44ページ
  20. トラブルシューターズ日本語版7ページ
  21. インターナルセキュリティのハイストスタイルの考え方も参照すること。
  22. 22.0 22.1 トラブルシューターズ日本語訳版43ページ
  23. 2版のステージのページを後で書く
  24. トラブルシューターズ日本語訳版31ページ
  25. 「崖の上で背中を押し合うゲームなのは不変だが(無論全員落ちる)、露骨なPvPのプレイは最早想定されていないだろう」 - page
  26. Paranoia 2nd Edition, p.93, [Gamemastering Paranoia] 1. Running Game Sessions: Session Length
  27. Paranoia XP(2004年版), p.91, 32.PLAY TIPS: Session Length
  28. トラブルシューターズ p.170, ごく僅かな希望の炎は絶やさないでおく必要があります。トンネルを抜ければ光が射すものと請け負いましょう。